新型護衛艦「25DD」に搭載予定の和製イージス「FCS-3」とは?本家よりも優れている点もあり!本家イージスシステムとの違いも解説

平成25年度計画艦型護衛艦「25DD型護衛艦(以下25DD)」は海上自衛隊が平成25年度防衛予算により1番艦を建造する新型のDD(汎用護衛艦)です。→Ranking

排水量から5000トン型護衛艦とも呼ばれています。
「25DD」は19DDの「あきづき型護衛艦」をベースとしているので艦影は19DDと似ることになると見られています。
19DDと異なるのは将来の発展性を残しつつ建造コストを下げるということを目標として建造されるということです。

25DDにも19DDと同じく和製イージスと呼ばれる「FCS-3」システムが搭載される予定です。
イージスシステムについては「イージス艦、イージスシステムとは。開発の経緯と共に解説【その2:イージスシステムとは】」と「【その3:イージス艦とは】」でも解説しているので読んでみて下さい。

本家イージスシステムと「FCS-3」の違いはいくつもありますが、全く別ものと言って良い程違いがあります。
まず構想が異なります。
イージスシステムは「艦隊防衛」を目的として開発されており艦隊全体を防衛することを念頭に置いているので非常に大規模です。
これに対して「FCS-3」は個別の艦艇を防衛することを目的として開発されています。
つまり防衛範囲が全く異なるということです。

護衛艦「あきづき」に搭載されたFCS-3A
fcs_3a1
出典 – ja.wikipedia.org

FCS-3はイージスシステムのうちの一部の動作のみしか担当しておらず、イージスシステムはFCS-3のような個々の各種戦闘システムを艦内のLANで接続し連動させています。
艦隊防衛についてはイージスシステムの方が圧倒的に優秀ですが、小型艦に搭載するにはイージスシステムは高価で大きすぎるのでFCS-3の方が適していると言えるでしょう。

護衛艦「いせ」に搭載されたFCS-3のレーダー
右側の大きなものがCバンドのもので、左側の小さなものがXバンドのレーダー
fcs-31
出典 – ja.wikipedia.org

またFCS-3はイージスシステムと違い、アクティブ式フェイズドアレイアンテナを使用しており、アンテナの設置位置で自由度が高いという利点があります。
このアンテナは低空探索に有利なCバンドという周波数帯を使用しているので、より小型艦の任務には向いていると言えます。
Cバンドには電波妨害に強いという長所もあります。
FCS-3にはCバンドに加えてミサイル誘導を行うXバンドレーダーも追加されています。
「その3:イージス艦とは」のページでも解説しましたが、イージス艦には小型の民間偽装船などの攻撃に弱いという欠点があるので、FCS-3を搭載した小型艦でイージス艦の護衛に当たれば相乗効果が見込めるかもしれません。

イージスシステムのSPY-1レーダーには1台の送信機と受信機を複数のアンテナが共有するパッシブ式ですが、FCS-3のアクティブ式はアンテナ1つ1つが送信機と受信機を自前で持っています。
両者とも4方向にアンテナを固定配置しているのは同じで全方位を切れ目なく捜索することができます。

FCS-3システムは探知距離が200キロ以上(あきづき型搭載のFCS-3Aは300キロ以上)、同時追尾目標300以上、同時攻撃可能目標数16と言われています。
目標を捜索・探知・追尾しさらにミサイルや砲等の各種武器を発射・管制・追尾します。
レーダーと武器の射撃指揮装置(FCS)をまとめて1つにし、目標への反応速度を上げることに成功しました。

世界的に見ても良いシステムとされ、開発にはかなりの年月がかかり、苦労もあったようです。
FCS-3システムの開発は1986年から開始され、1995年にようやく試験艦「あすか」に試作機を搭載することができ、2000年にようやく制式化されました。
制式化された後も開発が続き2009年にようやくヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」に改良したものが搭載され実戦配備されました。

FCS-3システムは「短SAMシステム3型」「00式射撃指揮装置」とも呼ばれています。
ひゅうが型護衛艦以降の海上自衛隊の新型の護衛艦に標準装備されているシステムで、海上自衛隊は全ての護衛艦にレーダーと武器管制を連動させるシステムを搭載する予定とも言われています。
FCS-3システムはイージスシステムと比較すると、およそ半分程の価格で配備が可能と言われており、コストパフォーマンスに優れています。
このシステムを研究、発展させていけば将来的にはイージスシステム並のものができる可能性もゼロではないでしょう。

FCS-3はひゅうが型護衛艦に搭載されているモデルです。
FCS-3Aはあきづき型護衛艦に搭載されているモデルで主砲への管制機能が追加されています。
さらに出力をFCS-3の3倍程度に向上させ、隣接する艦艇を守る程度の小規模艦隊防空能力を持っています。
いずも型護衛艦に搭載されるモデルとして「OPS-50」があり、対空捜索と航空管制に特化した純粋な対空レーダーとしているモデルもあります。

25DDについてはコストダウンが目標となっているため、FCS-3の性能を一部制限してあります。
さらに名前がFCS-3から「OPY-1」に変更される可能性もあるそうです。

25DDは護衛艦として初めてガスターボエレクトリック・ガスタービン複合推進(COGLAG)方式を採用する予定で、この方式は試験艦「あすか」に採用されて研究開発が行われていたもので、低速・巡航時はガスタービンエンジンを用いてターボ・エレクトリック方式により電気推進を使用して、高速時にはガスタービンエンジンによる機械駆動も併用して推力を得る方式です。
この方式は燃費に優れており、運用コストダウンが期待できます。

25DDはこの19DD(あきづき)と似た艦影になると言われています。
19dd1
出典 – ja.wikipedia.org

また、25DDは19DDよりも対潜水艦に対する警戒、戦闘能力に比重を置いていると言われています。
ソナーを発信と受信を異なる艦艇が行うことができるOQQ-24とOQR-4という組み合わせに更新し、より高い精度の対潜探知が可能となっています。
将来的には潜望鏡監視レーダーも搭載する予定となっています。

ミサイルは対空ミサイルが4セル16発、対潜ミサイルが12発という組み合わせが予想されており、短魚雷は新型の12式短魚雷の搭載が予定されています。

日本は戦争をしない国なので、外に出ていく空母よりはイージス艦やFCS-3のように防御が得意な兵器の方が重要であると思います。
それにもしも次に大国同士の戦争が起きるとすれば、個人的には航空機の戦いよりもミサイルの戦いになると考えています。
戦艦→航空機(空母)の流れが太平洋戦争では起こりましたが、次に大きな戦争があるとすれば航空機→ミサイルとなるのではないでしょうか。

そのような意味でもFCS-3のようなレーダー連動型のハイテク兵器の研究・開発は重要であると思います。

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